聖書箇所 マタイ28：16～20
28:16 さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行き、イエスが指示された山に登った。
28:17 そしてイエスに会って礼拝した。ただし、疑う者たちもいた。
28:18 イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。「わたしには天においても地においても、すべての権威が与えられています。
28:19 ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。父、子、聖霊の名において彼らにバプテスマを授け、
28:20 わたしがあなたがたに命じておいた、すべてのことを守るように教えなさい。見よ。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます。」
説教要旨
年間聖句に「彼のことばを受け入れた人々はバプテスマを受けた（使徒2：41）」とあります。本日は主イエスが洗礼を制定された御言葉に聴いていきます。復活された主イエスはガリラヤで弟子たちに仰せられました。「わたしには天においても地においても、すべての権威が与えられています（v18）」十字架で死なれ、復活されたイエス・キリストは神から万物を支配し治める権威を授けられました。とりわけ人間に罪の赦しと神との交わりである永遠のいのちを与え、教会のかしらとして愛をもって教会を治め、救いの中に守り保つ権威を授けられました。それゆえに大宣教命令を弟子たちに与えられました。（v19～v20）主イエスはご自分を捨てていった弟子たちに最初に弟子と召したガリラヤで再出発を与えられたのです。大宣教命令の中心は「あらゆる国の人々を弟子としなさい（v19）」でした。「弟子（v19）」とは、イエス・キリストを主、救い主と信頼し、イエス・キリストに従い、イエス・キリストから学び、イエス・キリストのように歩んでいく者です。小さなイエス・キリストです。人々を弟子とするために「洗礼を授ける」ことと「教える」ことを命じました。ここにイエス・キリストが洗礼を制定された言葉があります。洗礼は、教会が制度として後に作り出したものではなく、イエス・キリストご自身が制定されたものです。プロテスタント教会は「洗礼」と「聖餐」を「礼典」としています。「礼典」とはイエス・キリストが定められ、イエス・キリストの救いを目に見えるもの（洗礼では水、聖餐ではパンとブドウ液）で表し、確かなものとします。私たちに救いを表し確かなものとするのは「御言葉」とその説き明かしである「説教」で十分だと考えるかもしれません。しかし、主イエスは目に見えることに左右されがちな私たちに、与えられた救いをよりよく表し確かなものとするために礼典をお定めになられました。礼典そのものにその力があるのではなく、聖霊の働きによります。主イエスは命がけで私たちに与えてくださった救いを私たちが肌で味わい、口で味わい、聖霊の働きにより私たちに表し、確かなものとするために「礼典」を制定してくださったのです。
では、礼典の一つである「洗礼の意味」は何でしょうか？「父、子、聖霊の名において（v19）」直訳は「父、子、聖霊の名の中に」です。洗礼は罪が赦され（洗い清められ）、三位一体なる神との交わりの中に入れられ神のものとされた救いを表し、確かなものとします。とりわけイエス・キリストに結び合わされたことを表し、確かなものとします。（使徒2：38、ローマ6：3～5）また、洗礼はイエス・キリストのからだなる教会に結び合わされ、教会の一員とされたことを表し、確かなものとします。（使徒2：41、Ⅰコリント12：13）そして、洗礼の直接的意味とは少し異なりますが、洗礼は「ゴール」ではなく、「スタート」です。主イエスに結ばれ、主イエスの御言葉に聴き養われていくことが洗礼から始まっていくのです。そして、神のもの、主イエスの弟子として、今度は私たちが主イエスの宣教命令に従いあらゆる人々を主イエスの弟子とする主の働きに仕えていくのです。
そのように主のものとされた私たち、宣教命令に生きていく私たちに主イエスが約束してくださっておられます。「見よ。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます（v20）」「いつも（v20）」の直訳は「すべての日に」です。イエス・キリストは喜びの日も苦しみの日も、イエス・キリストへの信頼に満ちている日も、「疑う者たちもいた（v17）」とイエス・キリストへの信頼が薄くなっている日も私たちとともにいてくださいます。
この朝、御言葉に聴き洗礼を授けられた恵みを覚え、またこれから受ける聖餐によって「主は私たちの罪を全く赦しご自身のものとし、教会に結び合わせてくださった。主は私たちのすべての日にともにいてくださる」との信頼を確かなものとして歩み出していきましょう。主の教会を大切にし、人々を主の弟子とする業に時が良くても悪くても仕え続けていきましょう。