聖書箇所 ルカ22：14～20
22:14 その時刻が来て、イエスは席に着かれ、使徒たちも一緒に座った。
22:15 イエスは彼らに言われた。「わたしは、苦しみを受ける前に、あなたがたと一緒にこの過越の食事をすることを、切に願っていました。
22:16 あなたがたに言います。過越が神の国において成就するまで、わたしが過越の食事をすることは、決してありません。」
22:17 そしてイエスは杯を取り、感謝の祈りをささげてから言われた。「これを取り、互いの間で分けて飲みなさい。
22:18 あなたがたに言います。今から神の国が来る時まで、わたしがぶどうの実からできた物を飲むことは、決してありません。」
22:19 それからパンを取り、感謝の祈りをささげた後これを裂き、弟子たちに与えて言われた。「これは、あなたがたのために与えられる、わたしのからだです。わたしを覚えて、これを行いなさい。」
22:20 食事の後、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流される、わたしの血による、新しい契約です。
説教要旨
本日は「聖餐の意味」を覚えて参ります。イエス様は過越の食事の席でこれは弟子たちと取る最後の過越の食事であること、「死」が近づいていることを告げました。また、ご自身の死が過越が成就することを告げました。過越の祭りは、子羊が屠られ、神がイスラエルの民をエジプトから脱出させてくだった神の救いの御業を記念し行われていました。過越はやがて神が成し遂げられる救いの御業を予表していました。神の子羊イエス・キリストが十字架で死なれ、過越に予表された神の救いの御業がイエス・キリストにおいて実現することを告げたのです。（v16～v18）そして、v19から聖餐を制定されました。
「パン（v19）」は、ご自身の「からだ（v19）」を表すと仰せられました。「杯（v20）」ぶどう酒は、ご自身の「血（v20）」を表すと仰せられました。いずれも「あなたがたのために与えられる（v19）」「あなたがたのために流される（v20）」と仰せられました。「あなたがたのために」とは「あなたがたに代わって」とも訳されます。イエス・キリストは私たちの罪の身代わりとして十字架にかかり死んでくださいました。神は義なるお方で、私たちの罪を正しく裁かれます。神の裁きを恐れなければなりません。しかし、神は私たちを愛し御子イエス・キリストを与えてくださいました。イエス・キリストは私たちの罪の身代わりに神の裁きを十字架で受けてくださいました。そして神は私たちと「新しい契約（v20）」を結んでくださいました。罪を赦し神の裁きから救い、特別な祝福の関係を結び神のものとしてくださいました。即ち、聖餐はイエス・キリストの私たちの罪の身代わりの死を示し、罪の赦しと神のものする救いが示されました。
聖餐の目的は何でしょうか。イエス様は「わたしを覚えて、これを行いなさい（v19）」と仰せられました。「わたしを覚えて（v19）」の直訳は「わたしを思い出すことのために」です。聖餐によって自らが罪人であり、イエス・キリストの十字架の死が私たちの罪の身代わりの死であり、そして私たちの罪が赦されておりご自身のものとされたことを思い出すのです。聖餐はさらに大切な意味があります。「私たちが神をほめたたえる賛美の杯は、キリストの血にあずかることではありませんか。私たちが裂くパンは、キリストのからだにあずかることではありませんか。（Ⅰコリント10：16）」「あずかること」との言葉は「コイノニア」という言葉です。コイノニアとは「ともに何かにあずかる」との意味です。聖餐は、ともにイエス・キリストにあずかること、イエス・キリストに結び合わされることです。パンと杯を食し、聖霊の働きによって、私たちはともにイエス・キリストにあずかり、イエス・キリストと交わり、イエス・キリストに養われるのです。私たちはごはんを食べ肉体が養われるように、聖餐によって私たちの魂がイエス・キリストにあずかり、イエス・キリストと交わり、養われ強められるのです。そしてまた聖餐は一つパンを食し教会の交わりが一つであることを表し、聖霊の働きによって私たちの交わりが強められます。（Ⅰコリント10：17）
「これを行いなさい（v19）」「行いなさい（v19）」は繰り返し（継続）を表す動詞の形です。洗礼を受けることは生涯において一回ですが、聖餐は繰り返し受けます。私たちがイエス・キリストを信じ救いを受けることは一回的なことですが、私たちが整えられ聖められていくことは継続的なことです。私たちは聖餐をともに繰り返し受けともに自らが罪人であることを思い出し、罪の赦しを思い出し、いかなる状況の中でも主のものとされていることを思い出します。そして聖餐をともに繰り返し受けイエス・キリストと交わりそのような信頼をともに養っていただくのです。
聖餐には大切な意味があることを覚え、次週受ける聖餐を待ち望んでいきたいと願います。